下水処理施設の最初沈澱汚泥や生ごみをはじめとする有機固形物は,バクテリアを主体とする活性汚泥と比べて消化されやすく,メタン発酵によってエネルギー資源に転換しやすいと考えられている.このような有機固形物の分解挙動を数学モデルで整理すればプロセスの効率化検討に有用な情報になる.代表的な有機固形物である最初沈澱汚泥の加水分解を回分的呼吸速度試験装置で調べた結果,生物分解される成分は,(1)活性汚泥モデルの遅分解性成分( XS )と類似で速く消化する物質,(2)最初沈澱汚泥中の微生物( XH )と考えられる消化速度が遅い物質,(3)基質の生成に先立ち微細化反応が起きる物質,の三種類に分類することができた.これらの状態変数を組み合わせれば,さまざまな固形物の消化反応を定量的に考察することができると考えられる.