本研究では,鉄粉による脱塩素反応を利用した地下水浄化技術の室内基礎検討を実施した.バッチ試験では29種類の製品鉄粉および廃棄物鉄粉について,トリクロロエチレンの脱塩素反応速度を明らかにし,副生成物も含めた鉄粉種類ごとの分解特性を把握した.カラム試験では,鉄粉の配合量・通水速度・通水pH・溶存酸素濃度をパラメータとして,脱塩素反応速度に及ぼす影響について把握した.また,長期カラム試験では通水後の鉄粉をカラムから取り出し,バッチ試験による反応速度定数の再測定を実施した.その結果,6.4年経過した試料は擬一次反応速度定数で初期状態に対して1/6の値を示した.透過性地下水浄化壁のような長期的な漏洩防止対策向けの用途では,腐食による経年的な反応面積の減少による分解反応の減衰を考慮する必要がある.