キウイフルーツ搾汁, 生姜搾汁による食肉の前処理が加熱調理後の脂肪酸量, コレステロール量へ及ぼす影響について, 豚ロース肉, 鶏もも肉を試料として実験を行った.加熱調理後の豚肉, 鶏肉の脂肪量(脂肪酸量)およびコレステロール量はキウイフルーツ搾汁の前処理によって有意に減少した.一方, 生姜搾汁での前処理は, 加熱調理後の豚肉のコレステロール量を減少させた.キウイフルーツ搾汁での前処理は, 調理後の食肉の重量減少を促進した.キウイフルーツ搾汁と生姜搾汁で認められたこの差は, 酸性条件下ではコラーゲン分子がプロテアーゼ作用を受けやすい構造となることから, キウイフルーツ搾汁(pH3.2)と生姜搾汁(pH6.0)のpHの差によるものと考えられ, 酸性条件下での結合組織に対するプロテアーゼ作用によって, 結合組織に蓄積している脂質の溶出が増加したといえる.すなわち, キウイフルーツ搾汁の前処理による食肉の軟化は, 調理後の食肉のテクスチャーのみでなく, 脂質量にも影響を及ぼすことが示された.