緑茶浸出液に含まれる茶葉サポニンの簡易定量法について検討した. (1) 緑茶浸出液中の茶葉サポニンをフェノール硫酸法にて測定すると, 共存するカテキン類も発色し, 大きな測定誤差が生じる.そこで, 緑茶浸出液の茶葉サポニンとカテキン類を固相抽出カラムで分離して, 茶葉サポニンを測定する方法を検討した.標準物質の EGCGを保持させた固相抽出カラムに20%メタノール水溶液15mlを通すと約95%のEGCGが溶出された. 一方, カラムに保持された茶葉サポニンは20%メタノール水溶液15mlを用いても3%以下しか溶出されず, 80%メタノール水溶液5mlで完全に溶出された. (2) 緑茶の主要カテキン類の中で, EGCG, EGCおよびECは20%メタノール水溶液15mlで95% 以上が溶出されたが, ECGは約30%が溶出されなかった.しかし, ECG はEGCG, EGC に比べて緑茶に含まれる量が少ないことから, また, 発色強度も茶葉サポニンの約1/6と低いことから, 茶葉サポニン画分にECG が混入しても大きな測定誤差にはならないと考えられる. (3) 以上の検討結果から, 緑茶浸出液の固相抽出カラムによる分画は次のとおりとした.緑茶浸出液 2ml を固相抽出カラムに注入し, さらに蒸留水8ml を流して水溶性ペクチン画分 (水溶性ペクチン定量試料) を回収した.次いで20%メタノール水溶液15ml をカラムに通してカテキン類を除去した後, 80% メタノール水溶液5ml を通して茶葉サポニン画分 (茶葉サポニン定量試料) を回収した. (4) 回収した画分を用いて, 各種緑茶浸出液中の茶葉サポニンをフェノール硫酸法で, 水溶性ペクチンをカルバゾール硫酸法で定量した.その結果, 通常の飲用条件では, 茶葉サポニンは玉露に多く, 次いで煎茶および抹茶, ほうじ茶, 番茶の順で多く含まれていた.水溶性ペクチンは玉露と抹茶すなわち覆下茶に多く含まれることが認められた.