コーヒーを用いて, 銅の除去に対して最適な条件 (コーヒー1g, 撹拌時間30分, 撹拌温度25℃, pH6) を確立し, 銅を含めた9種類の重金属について除去率を決定した.また, コーヒー殻についても同様の実験を行った結果, コーヒー殻の方がコーヒーよりも高い除去率を示し, 特に鉛とカドミウムについては除去率が90%を超えることがわかった. コーヒー及びコーヒー殻の水溶液中のポリフェノールの分析から, コーヒー殻中の水溶性ポリフェノールはコーヒーに比べてかなり減少していることがわかった.また, SEMによる粒子の観察結果により, コーヒー及びコーヒー殻のいずれにも多孔質の微細構造がみられたが, コーヒー殻の方がコーヒーよりも多くの組織の断片が認められ, 表面積の増大が確認された.すなわち, コーヒー殻は水溶性ポリフェノールの減少と粒子中の金属吸着活性部位の表面積の増大によって, コーヒーを用いた場合より金属の除去率が高まったことが示唆された. 以上の結果から, 本法は食品廃棄物を環境保全へ有効利用した優れた手法であるといえる.