靴は足を護り, その役割を補助するものであるが, ややもすればデザイン優先の流行に流されているように思える.そこで, 若年女子の靴の選択と着用に関する意識を調査するとともに, 最近流行している厚底靴を取り上げ, その問題点を検証しようと試みた.若年女子7名を被験者に, 歩行時の足圧分布を測定するとともに, 前脛骨筋, 腓腹筋の筋電図分析および歩容の観察などを行い, ウォーキングシューズおよび裸足との比較から, 厚底靴が歩行にどのような影響を与えるのかについて検討を加え, 次のような知見を得た. (1) 若年女子の靴に対する意識は, 機能性よりもデザインを優先したものであり, 足への負担を感じながらも無理をして靴を着用している実態が窺えた. (2) 厚底サンダルでは, ウォーキングシューズに比して足底にかかる総荷重値が大きい上に, 圧力が加わる面積が小さいために, 荷重を分散する効果が少ないことがわかった. (3) 厚底サンダルでは, 裸足やウォーキングシューズのように, 踵から接地しつま先で蹴り上げるという正常な歩行が妨げられ, 前足部への荷重の偏りが顕著であり, しかも荷重のかかり方が不安定となることが足圧分布から読み取れた. (4) 歩容の観察から, 厚底サンダルでは, すり足傾向の歩行となることが明らかとなった. (5) 厚底サンダルでは, 歩行時の腓腹筋の筋電図が有意に大であり, 歩行速度は低下した. 以上より, ファッション性偏重の安易な靴づくりに対する見直しと消費者の意識改革の必要性を提起したい.