(1) 本研究は, 身体移動の側面から日常的身体活動を定量的に評価する方法を新たに開発することを目的として, 日常活動の行われる場所を屋外区域, 屋内着靴区域, 屋内脱靴区域に区分し, そこにおける「歩行率」を算出することによって, 区域別活動強度を明らかにしようとした. (2) 区域別活動時間や区域別歩数割合は就業形態の影響を強く受けていた. (3) 活動姿勢別歩数割合では, 「歩行」における歩数が最も多かったが, 「立位」における歩数割合が平均30%を占めていた. (4) 活動区域別の歩行率には明らかな違いが認められた.すなわち, 屋内脱靴, 屋内着靴, 屋外などの活動区域における歩行率の比は, ほぼ2 : 5 : 10となった.身体移動という観点から日常生活活動を評価する場合, 区域別活動時間にこの係数を乗じて活動量をスコア化して表すことが可能ではないかと考えられた. (5) 被験者別および被験者平均で, 区域別の歩行率と基準化心拍数との間には強い正相関が認められた.このことから, 歩行率とくに区域別歩行率は身体活動量を表す指標となると考えられた.