本報では, 分散染料で処理したナイロン6繊維とその対照試料の強伸度曲線上における紫外線光照射の影響について調査した.紫外光を照射した試料の破断点は, 照射時間に依存して未照射試料の強伸度曲線の基本的な形を保ちながら低伸度側に向かって低下した.この現象は, 非晶域の高凝集エネルギーをもつ領域は低い凝集エネルギーをもつ領域よりもダメージをうけやすいという仮定を示唆する.およそ20時間までの紫外光照射では, 破断強度は未処理, 対照試料, 染色試料の順に減少する.しかし, 20時間以上の照射になると, 染色試料と対照試料の値は逆転する.それらの結果もまた上述の仮定をもとに議論された.