魚骨を1%酢酸溶液, 茶煎汁, 水中で加熱したときの物性変化と成分との関係および魚骨アパタイトの結晶性の変化について調べ, 以下の結果を得た. (1) 魚骨を各液中で加熱するといずれの溶液中でも破断エネルギー値は低下し, とくに1%酢酸溶液中で加熱した魚骨では低下の程度が大きかった. (2) 魚骨を各液中で加熱すると粗タンパク質が溶出した.溶出率は加熱溶液により異なり, 1%酢酸溶液中で最も高かった. (3) 魚骨カルシウムは, 1%酢酸溶液中の加熱で溶出した.茶煎汁および水中の加熱ではほとんど溶出しなかった. (4) 破断エネルギー値がほぼ同じである常圧加熱および加圧加熱の魚骨を比較すると, 加圧加熱の方が成分の溶出が少なかった. (5) 魚骨を各液中で加熱することにより, 骨アパタイトの結晶化が進み結晶は純化したが, 魚骨全体としてはタンパク質が溶出することで魚骨が軟化したものと考えられる.