本報告では, われわれの生活環境の一部である浴槽水に焦点をあて, 家庭あるいは共同施設 (老人ホーム, リハビリ施設, 寮など) 由来の浴槽水119検体におけるレジオネラ属菌の汚染状況を調べた. 全検体の73.9%がレジオネラ属菌陽性であった.これを厚生省監修, レジオネラ症防止指針に従って, 検出された菌数から評価すると, 半数以上 (52.1%) が望ましい範囲に該当しなかった. 続いて, 検出分離されたレジオネラ属菌の同定を行った結果, Legionella pneumophila が大部分 (82.4%) を占めた.以上の傾向は家庭風呂, 共同風呂を通じてほぼ同じであった. レジオネラ属菌は日和見感染菌であり, 飛沫を吸入すると, 場合によっては肺炎等の疾病を引き起こす.したがってとくに幼児, 老人, 病人が入浴するような場合には, これらの細菌による浴槽水の汚染に注意を払う必要がある.