1歳児とその母親41組を対象として, SSPを施行した.SSPの各場面における対象児と母親の距離を移動位置検出装置により計測し, SSPの第7場面の施行時間によって, 対象児を母親と分離可能な群と不可能な群に分けた.SSPの各場面が有するストレス, 母子間距離, 愛着行動・探索行動の潜時における関係および2群間の差異について分析し, 以下の結果を得た. (1) 子どもが, 強いストレスを体験した後の再会場面で, 母子間距離は顕著に縮小することが明らかになった. (2) 母子同室場面における母子間距離は, 分離可能群の方が不可能群よりも有意に大きいことが明らかになった. (3) 母子分離場面より母子同室場面における母子間距離の方が, 子どものストレスのよい指標となることが明らかになった. (4) 分離可能群は, 母親とdistance interactionを行うと共に, 短時間の愛着行動の表出によって, 情緒的安定を得ることができた.このことによって, 分離可能群の母子間距離が, 不可能群より拡大する可能性が認められた.