食品包装材料から溶出したアルミニウムの体内呼吸の可能性を知るため, アルミニウム溶出量とイオン量を調べた.全アルミニウム量は原子吸光光度法で, イオン量はクロムアズロールS吸光光度法で測定した.市販缶ビールにおいては, 製造後2カ月未満のものより5カ月経過したものの方がアルミニウム溶出量は多かったが, 溶存イオン量はその30~40%で, 両者とも類似の割合を示した.缶ビールをさらに長期間保存すると, アルミニウム溶出量が増大し, イオン量も約10%上昇した.アルミニウムホイルを酢酸, クエン酸, 塩化ナトリウム水溶液および蒸留水に浸漬して加熱すると, 酢酸, クエン酸, 塩化ナトリウム, 蒸留水の順でアルミニウムが溶出した.イオン化率は酢酸が最も高く60%, 次いで蒸留水の45%だった.クエン酸水溶液中ではアルミニウムイオンはほとんど存在しなかった.