ペプシン, トリプシンまたはキモトリプシンで消化した未変性オボアルブミン (NOA) および熱変性オボアルブミン (HDOA) の加水分解度を調べると共に加水分解物の抗原性の変化を調べた.加水分解の程度は低分子ペプチドの分離可能なトリシンSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で, 加熱および消化による抗原性の変化は抗NOAウサギ19G抗体との結合をELISA法で調べることで確かめた.NOAをペプシンで消化すると, 消化時間 (0, 10, 30分, 1, 2, 3, 10, 24時間) と共に分子量45,000~18,000のペプチドが減少し分子量15,000~2,500のペプチドが増加した.また抗原性は24時間後に70.9%に低下した.しかしトリプシンやキモトリプシンで消化しても加水分解の程度と抗原性に大きな変化は見られなかった.0.2% NOA 水溶液, pH 7.2を98℃で10分間加熱して得られたHDOAの抗原性は NOA の81.8%に減少した.HDOAはNOAに比べはるかに加水分解されやすく抗原性も低下したが抗原性は残っていた.すなわちペプシン, トリプシンまたはキモトリプシン消化による24時間後の抗原性はそれぞれ NOA の8.4%, 82.0%, 21.3%であった.本結果からオボアルブミンの抗原構造は比較的安定であることが示唆された.