ラットに3H-コレステロールを投与し, 糞中への放射能ステロールの排泄促進作用に対する低分子化アルギン酸 (DSA : 平均分子量5万) の用量依存性と最小有効量とを調べた.また, DSAのコレステロール排泄促進作用のメカニズムを解明する目的で, 中性ステロール画分と酸性ステロール画分の放射能量を分別定量した.DSA投与1日目における100mg/kg投与群では糞中への中性と酸性ステロール画分の各放射能ならびに総放射能排泄量は対照群より増加していた.300mg/kg投与群では中性ステロールの放射能量が増加した.コレステロールの吸収量はDSAによって用量依存的に抑制された.一方, DSA投与後4日間の糞中への酸性ステロール総排泄量は増加しなかったが, 吸収されたコレステロール量に対する排泄酸性ステロール量の比率は300mg/kg群で増加した.以上の結果から, DSAのコレステロール排泄促進作用の最小有効量は100mg/kg体重であり, コレステロールの排泄量には用量依存性が認められた.また, DSAには食餌性コレステロールの吸収阻害を有するだけでなく, 酸性ステロールの代謝に間接的に影響している可能性が示された.