米の多目的利用法の一つとして, 米粉を市販アミラーゼで糖化させ, ケフイアから単離した乳酸菌を主として用いて発酵糖化液の調製を試みたが, 処理する市販糖化酵素 (グルコアミラーゼ, グルクザイム) の違いで菌の発酵性が異なった.この発酵性の違いはグルクザイムの自己消化物によると考えられ, その中のどのような成分がケフイアから単離した乳酸菌の酸生成に関与しているかを明らかにするための検討を行った.得られた結果は以下のとおりである. (1) 糖化酵素のみを保温した場合, グルクザイムは保温後自己消化によりアミノ酸量が著増しており, グルコアミラーゼ処理糖化液への微量添加で乳酸菌による酸生成が増大した. (2) 保温グルクザイムのTLCではニンヒドリン陽性の溶媒先端に近い画分 (ロイシン, イソロイシン, フェニルアラニン付近) に酸度上昇が認められた. (3) TLCにおける活性画分のアミノ酸分析や既知アミノ酸添加効果などの結果から酸生成促進作用を有する主要成分はイソロイシンで, バリン, ロイシンなどのアミノ酸に相加効果のあることが判明した.