ワカメ成実葉の食物繊維源としての生理機能を明らかにすることを目的として, 消化器官の形態や血漿コレステロール濃度に与える影響についてラットを用いた動物実験により検討を行い, 次のような結果を得た. (1) 3% ワカメ成実葉添加飼料を与えた試験群と対照群において, 飼料効率に差は見られず, ワカメ成実葉の摂取はラットの成長に影響を与えなかった. (2) 食物繊維による消化吸収阻害は消化管の肥大の要因と考えられるが, 3% ワカメ成実葉添加飼料の摂取では, いずれの消化管組織重量, 内容物重量にも有意な変化は見られなかった. (3) ワカメ成実葉の摂取によって盲腸内容物の結合水量は有意に増加し, 盲腸内容物の保水力が高まったと考えられた.これよりワカメ成実葉の生理機能として糞便の水分量, かさの増加効果が示唆された. (4) ラットの盲腸組織観察においては, ワカメ成実葉摂取の影響は見られなかった. (5) ワカメ成実葉抽出アルギン酸ナトリウム添加飼料を与えたラットでは実験3週目以降で血漿コレステロール濃度が低下したが, 同様の実験条件ではワカメ成実葉の血漿コレステロール低下作用は認められなかった.