平均粒子径11-78μmの10種類の微結晶セルロースを分散させた試料 (水懸濁液, 低および高粘稠液, 軟および硬ゲル) を口に入れたときの, ざらつき感の強度について官能評価し, 微結晶セルロースの平均粒子径および濃度と分散媒の影響を検討した.水懸濁液では, ざらつき感の強度は, 微結晶セルロースの平均粒子径が大きくなるほど, また濃度が高くなるほど大きくなり, 平均粒子径と濃度の両方に依存していた.そこでざらつき感の強度と (平均粒子径×濃度) の対数との関係を回帰分析したところ, 両者は相関が高いことが明らかになり, 両者の関係を表す回帰式が得られた。すなわち, (平均粒子径×濃度) を刺激の強さとすると, ざらつき感の強度についても, 一般に感覚の強さと刺激の強さとの関係について知られているFechnerの法則に当てはまることが説明された.粘稠液およびゲルの系においても, ざらつき感の強度と平均粒子径および濃度との間にFechnerの法則が当てはまることが確かめられた.微結晶セルロースの平均粒子径, 濃度および分散媒が, それぞれどの程度ざらつき感の強度に関与しているか知るため重回帰分析をおこなったところ, 寄与の程度は, 平均粒子径がもっとも大きく, ついで濃度, 分散媒の順であることが分かった.