5種類の目皿 (細孔の直径2.4, 3.4, 4.8, 6.8および9.6mm) を通した挽き肉 (牛, 豚および鶏の3種類) を用いてハンバーグ様試料を調製し, 試料の官能的識別および物性に及ぼす粒度の影響を検討した. 生肉粒, 加熱後の肉粒の粒度を測定した結果, 加熱による肉粒の収縮率は牛肉>豚肉>鶏肉であった.さらに粒度測定から, 牛肉は, 目皿の直径が異なる試料間の粒度の識別がもっともしやすく, また鶏肉は結着性がもっとも高いことが示唆された. 試料中の水分の保ちやすさは, 解凍試料では目皿の直径が大きい試料の方, 加熱試料では小さい試料の方であり, さらに鶏肉>豚肉>牛肉という肉種による差があった.勇断破断歪みおよび凝集性は, 目皿の直径が大きい試料ほど有意に大きく, また牛肉は他の肉種より, 目皿の直径が異なる試料間での変化率が大きかった.これより, 牛肉の物性は, 目皿の直径が異なる試料間で識別しやすいことが示唆された. 官能検査の結果, 目皿の直径が異なる試料間で, 切り口の粗さ, 硬さ, 弾力性および肉粒感は3種の肉ともにある程度識別できたが, 識別のしやすさには肉種により差があり, 牛肉≧豚肉≧鶏肉であることが分かった.この結果より, 肉粒の粒度測定および物性測定による示唆が裏づけられた. 肉の粒度を官能的に捉える指標の1つである肉粒感は, 肉汁の流出率および解凍試料の保水力の2つの物性値で98%予測できることが分かった.また, 2つの肉粒の体積の比が1.2~1.5以上になると粒度の識別ができると考えられた.