著者らが開発したメチレンブルー還元退色能の計測によるマガキの分光学的鮮度測定法を市場流通の大半を占める養殖のむき身マガキに適用し, 還元退色能計測値に及ぼすエラ切除部位, 切除エラ切片の大きさ, マガキ湿重量の差異等について検討すると共に, 冷蔵保存中 (4℃) における還元退色能の経時変化を調べ, 以下の結果を得た. 1) 冷蔵保存中に還元退色能が次第に低下し, その値は保存5日目で約半分, 7日目で1/4, 保存限界に達する10日目では保存開始時の1/20に低下する. 2) エラの中央部分の切片は口腔部および肛門部側に比し, 高い還元退色能を示す. 3) 同じ個体の中央部から調製したエラ切片の大きさ (切片湿重量) は還元退色能に正比例する. 4) 個体湿重量のある程度の幅 (8.15~13.80g) およびエラ切片試料 (同一幅, 5mm) 湿重量のある程度の幅 (0.012~0.023g) は, 試料母集団の還元退色能推計値には大きな影響を及ぼさない.