160℃ルーの香気について官能評価と化学分析により検討し, 次の結果を得た. (1) 3種類の試料の香気の官能的なプロフィールは6特性香の強さの評点平均値からは非常に異なっていて, 160℃ルーでは「こうばしい」の値は高かった. (2) 香気の総合評価では120℃ルーおよび160℃ルーは未加熱の試料よりは有意に高かった. (3) 主成分分析により, 120℃ルーおよび160℃ルーでは, 第1主成分と第2主成分による累積寄与率は60%以上となった.各試料についての各特性香の第1主成分と第2主成分の値から, 3種の試料は質的に全く異なっていた. (4) 160℃ルーの香気成分については, 主成分はフラン類のフルフリルアルコールで約40%の含有割合であり, またフラン類, ピラジン類およびピロール類等の複素環化合物は19種類も見られた.それに対して120℃ルーに多かったn-メチルケトン類は量的に少なかった。これらのことが160℃ルーの特徴ある香気に関係していると考えられる. この報文の概要は1992年度 (社) 日本家政学会第44回大会において言頭発表したものである.