ショウガの溶剤抽出物のラードに対する抗酸化力について実験した結果を要約すると次のようになる. 1) GC-MS分析によって, ショウガ抽出物中の34の化合物を同定した.この化合物には香気成分とフェノール系化合物が含まれていた. 2) エーテルおよびクロロホルム・メタノールの各抽出物はラードに対して強い抗酸化力を示した.その程度は新ショウガの方が古ショウガより顕著であった. 3) エーテル抽出物を水煮すると, 主としてフェノール系化合物が残った.これらは, ラードに対してかなり強い抗酸化力を示した. 4) 溶剤抽出物中のトコフェロールとリン脂質含量は新ショウガの方が古ショウガより多かった. 5) ラードの水煮におけるショウガの抗酸化力は, 香気成分, フェノール系化合物, トコフユロール, リン脂質が単独または相乗効果を示すことで発揮されると考えられる.