鶏肝臓糠漬の実用的な利用法として糠漬の好ましい調製条件を探究する目的で, 糠床の食塩濃度を検討し, 更に焼酎及び砂糖を添加した糠床を調製し, 鶏肝臓を72時間漬け込み, この間の糠漬の食味と理化学的性状の変化及び保存性について調べ, 次の結果を得た. (1) 糠床の食塩濃度4%に漬けた糠漬の食塩含量は1.2-23%の範囲で嗜好的に好まれた.しかしこの糠漬の保存性では Aw 値は0.96-0.95, 細菌数は105/gにとどまるものの食肉加工基準の50万/g以下の設定の上限値を示した. (2) 食塩濃度4%糠床における焼酎の最適添加量は28%で, この糠漬の物性の硬さの値は高くなり, 嗜好的にも好まれ, 細菌数は104/gレベルに抑制された.ちなみに焼酎56%添加糠漬ではアルコール濃度が高く, 嗜好性が低下した. (3) 美味しい糠漬の調製条件は調製糠40%, 塩4%, 焼酎28%, 蒸留水6%, 砂糖22%の糠床に48時間漬けた肝臓であった.この糠漬は対照の砂糖のみ無添加の糠漬に比べ, 色調の赤味度・彩度の値が高く, 硬さが適当で, 肝臓特有の臭気もほとんど緩和され, 風味もあり嗜好的に優れ, Aw 値0.92, 細菌数104/gで, 保存性も高かった.