本研究から以下のことがわかった. 1) 別居している祖父母と, 孫世代との交流の内容を規定する要因群として, 本調査結果からまず取上げられるべきは, 祖父母と孫の親, つまり祖父母とその子たちとの交流の内容, 別居している祖父母および孫の属する家族の構成, 別居の空間的距離, そして子ども達 (孫) の性別と年齢である. 祖父母と親世代が金銭やサービスの面で交流があれば, 孫との交流も多くなる.また別居している祖父母が老夫婦のみか一人住まい, 孫が属する家族が核家族であることは交流の頻度を高くしている.別居の空間的距離についていえば, 遠くなるにつれて交流の頻度は低くなる.また, 概して, 孫が男子より女子の方が, 年齢が小さい方が交流の頻度は高くなる. 2) 同居している祖父母と孫の交流を規定する要因として取上げられるべきは, 祖父母と親世代との関係の内容, 孫の性別・年齢, 祖父母の性別である.つまり, 親世代が祖父母といかなる交流を持続させているかが, 孫と祖父母との交流を規定しているということである.同居の中で, 家計, 空間つまり住居のつくり方および生活の分離の度合いが小さく, 共同の度合いが高い場合には, 「食事」「会話」といった孫との交流が増加している.祖父母世代と親世代の勢力関係もまた重要な要素である.例えば, 「重要な決定者」が祖父母である場合は, 孫は祖父母の注意をよく聞くようである.また「食事」や「会話」が多くなるのは, 「主観的勢力」が「同等」の場合である.また, 概して, 孫が男子より女子の方が, 学年が低学年の方が交流の頻度は高くなる.また, 祖父より祖母の方が交流頻度が高い. 3) 地域, 健康状態, 生活程度は, 同別居いずれにおいても, ある傾向を確認しえたが, 上記で取上げた要因群ほど明確なものではない.