アスコルビン酸 (AsA) の食品品質改良効果を明らかにするために, タンパク質として卵白アルブミン (OVA) を用いて以下の検討を行った. 各種0.2M緩衝液 (pH6) に溶かしたOVA溶液は, AsAによって50℃でインキュベーションすると白濁 (重合化) するが緩衝液の種類によってその濁度が著しく異なった.そこで, まず, 各種緩衝液に対するキレート剤と金属イオンの効果を調べた.次に, 0.26から1.0のイオン強度に調整したリン酸緩衝液を用いてAsAによって生じるOVAの濁度に対するイオン強度の影響を検討した. 得られた結果は, 緩衝液中に存在する金属イオンがAsAの酸化を促すことで白濁を生じさせることが, 各種緩衝液によるOVAの白濁の違いの原因の一つであることを示していた. また, リン酸緩衝液のイオン強度増加によりAsAによるOVAの重合体形成が抑えられたのは, 重合体形成に静電的および極性結合が関与しているためであると推定した.