本報では, 超高層住宅における今後の共用空間, 共用施設・サービスのあり方を探るために, 居住者の利用実態, 評価, およびニーズについて解析した.その結果は以下の通りである. (1) 幼児・小学生のいる世帯や団地内に知人・友人の多い社交的な世帯は, 1階の共用空間 (ラウンジ, プレイルーム, トイレ) や共用施設 (展望室, ホビールーム, AVルーム) をよく利用していた.逆に, 利用率が低かったのは, 高年齢世帯, 単身世帯, 夫婦のみの世帯, 非社交的な世帯であった. (2) 居住階別の利用状況をみると, 29階の展望室は下層階世帯ほど利用率が高かったが, 1階共用空間に関しては居住階別の差異はみられなかった. (3) 共用空間・共用施設にたいする居住者の評価は高く, 利用状況を反映したものであった.しかし, 誰もが自由にアクセスできる空間では防犯性, 快適性の問題が指摘されていた. (4) 家事支援のためのサービスセンターはよく利用されていた.特に利用率が高かったのは, DPE, 宅配便取次ぎ, 切手等の販売, コピー, クリーニング取次ぎ等のサービスであった.センターのサービスは, 特に共働き世帯の支援を考慮したものではないので, 主婦就労の有無で利用に差異はみられなかった.また家族型では, 幼児・小学生のいる世帯の利用率が最も高かった. (5) 超高層住宅居住者が, 多少の費用負担をしても利用したいと考える共用施設は, テニスコート・プール等のスポーツ施設, 来客用の宿泊施設, トランクルームであった.その他, 幼児・小学生のいる世帯では, 子どもの遊戯施設や幼児の一時預かり施設の要求も強かった.サービスにたいする要求では, 現在サービスセンターで利用率の高いサービスとともに, 宅配物の留守預かりが多く, それは特に単身世帯に顕著であった.