日光や紫外線照射によるビタミンD2含有キノコの呈味に関係のある遊離アミノ酸含量について検討し, 調理上利用できるか否かを検討し次のような結果を得た. (1) 本研究で使用したシイタケ, ヒラタケ, エノキタケのうちで遊離アミノ酸含量の最も多いのはヒラタケで, 次いでエノキタケ, シイタケの順で, それぞれ乾物あたりで, 6,370, 2,730, 2,180mg%であった.いずれのキノコもグルタミン酸が最も多く含まれている点が共通しており, アミノ酸組成のパターンは比較的類似していた. (2) 3時間日光に曝すと遊離アミノ酸は増加したが, アミノ酸組成間に顕著な変化はなかった.そして大まかにみると, うま味や甘味を呈するアミノ酸の量がやや増加し, 苦味を呈するアミノ酸の割合がやや減少している傾向がみられた. (3) 紫外線照射 (3時間) ではエノキタケでは遊離アミノ酸は増加したが, 日光の場合より少なく, シイタケ, ヒラタケでは減少した.いずれのキノコもアミノ酸組成間の顕著な変化はなかったが, この場合もうま味や甘味を呈するアミノ酸の割合はやや増加し, 苦味のアミノ酸はやや減少していた. (4) 熱風乾燥, 天日乾燥により遊離アミノ酸量は著しく増加し, 天日乾燥のほうがいっそう顕著であった.とくにシイタケではグルタミン酸の量に著しい増加がみられた. (5) 紫外線照射したキノコは数日間はアンモニアの生成量に変化はなく, 鮮度を保つのに効果があるように思われた.