ダイズ油の酸化において生成するマロンジアルデヒド (MDA) を, われわれが開発したHPLC法で特異的に定量し, MDA, チオバルビツール酸反応生成物 (TBA-RS) とトコフェロールとの量的関係を検討した.ダイズ油を170℃で加熱すると, MDAとT8A-RSはともに増加し, TBA-RSはMDAの約2倍であった.これらの増加に伴い, トコフェロールは速やかに減少した. 一方, ラジカル開始剤を用いて40℃で酸化すると, TBA-RSは反応初期の段階に急激に増加したが, MDAの増加とトコフェロールの減少は, TBA-RSの変化に対応しなかった.TBA-RSに対するMDAの割合は, 1時間後の17%から4時間後には42%まで, 時間経過とともに増加した. 以上の結果より, ダイズ油の酸化では, MDAの増加とトコフェロールの減少がよく対応したが, TBA-RSは異なる挙動を示すことが明らかになった.