押出し成形によって得た粒状組織状大豆タンパク質 (TSP-A) を加熱膨潤後凍結乾燥して多孔質化程度の異なる2種類の試料 (TSP-BおよびC) を調製し, 内部構造の違いが調味特性に及ぼす影響を保水性, 硬さおよびマトリックスの変化より調べた.これらの試料は窒素溶解性およびアミノ酸組成にはほとんど差がなく, タンパク質を90%前後含むものである.水浸漬を対照として, ショ糖, 食塩, 酢酸, 乳酸の0.1~1.0M水溶液および食塩濃度で0.1~1.0Mに調製した醤油希釈液に浸漬した結果次のことが明らかになった. (1) 多孔質化により, TSPの保水性はいずれの調味液に浸漬した場合も増加した。増加の程度は調味料により異なり, 水およびショ糖水溶液浸漬での効果が最も大きく (5倍), 続いて食塩水溶液および醤油希釈液浸漬 (2倍) であった.酸類水溶液浸漬はTSP-Aにおいても保水性が高かったので, 多孔質化による効果は少なかった (1.5~2倍). (2) TSPの保水性は, 調味液浸漬後のマトリックス膨潤量に依存した.また, TSPの膨潤には試料内部の空隙の存在が影響した. (3) 多孔質化によりTSPは軟化し, その程度は多孔質化の程度に依存した. (4) TSPの硬さが, 試料内部の空隙の存在に強く影響を受けるため, 多孔質TSPの調味料による硬さの違いはTSP-Aに比べ小さかった.