レクチンが有する多彩な生物活性のなかでとくに精製したさといもレクチンの毒性は, 最終的にHA活性とLA活性両方をともに有する均一なタンパクとして単離することができた.さといも100gより精製レクチン40mgが得られ, 最終活性としては, 21μgで1%マウス赤血球浮遊液1mlを完全に凝集し, kg体重当り1,500mgの腹腔内投与で100%マウスを死亡させた.さらに腹腔内投与後の組織化を肉眼で観察したところ, レクチン毒性に特有な肝臓, 脾臓のうっ血が認められた.また, 保存条件と熱処理および発芽に伴うレクチン含量変化を調べたところ, 100℃, 2時間でようやく活性が失われることなどから, さといもレクチンは, かなり耐熱性のタンパク質であることが判明した.とくにさといもを丸ごと加熱・調理するさい, 内部温度は100℃付近までは, なかなか上昇しないことを考えると, 調理のさいは, タンパク質や, デンプン等にレクチンが保護され, レクチン活性はかなり残存しているのではないかと考えられる。この耐熱性のメカニズムを考察すると, さらに興味深い, さといもレクチンの性質が明らかにされるものと思われる.