魚肉の鮮度指標として K 値を用い, いわしの鮮度と魚肉だんごの加熱凝集性との相関について調べた.その結果次のことがわかった. 1) いわしの鮮度低下に伴い魚肉だんごのかたさおよび凝集性は低下する傾向にあったが, 顕著な変化のみられない試料もあった. 2) いわし魚肉タンパク質の抽出量は, 鮮度低下に伴い塩溶性タンパク質, アクトミオシン区タンパク質および水溶性タンパク質ともに減少したが, 鮮度低下に伴う魚肉だんごのかたさおよび凝集性の変化が認められない試料については, 水溶性タンパク質の抽出量の減少はみられなかった. 3) 各タンパク質の SDS ポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンの変化は, ミオシンの変化が著しく, 鮮度低下の初期にミオシン重鎖の分解が起こり150,000ダルトン成分が認められた。また, 水溶性タンパク質の34,000ダルトン成分も鮮度低下の初期に消失した.