産地, 製法の異なる市販のブランド茶, 非ブランド茶 (すべて煎茶, 市販価格100gあたり500~1,500円) 10点を試料として, 静岡の緑茶専門家による官能評価 (茶葉審査合計50点, 浸出液審査合計150点, 総合計200点), 化学成分の分析, さらに, それらの相関関係を検討し, 以下の結果を得た. 官能評価による審査総合計点から, 同一価格の製品に大きなばらつきのあることがわかった.また, 茶葉の審査結果と浸出液の審査結果の相関関係から, 消費者が茶葉の形状等から浸出液の良否を判断することはむずかしいことがわかった. 茶葉および標準的な浸出法により煎出した浸出液の化学成分含有量も大きな差が認められた.また, 産地, 製法別の成分の特徴が認められた. 官能評価と化学成分含有量の関係を検討した結果, 茶葉の審査結果と茶葉の全窒素含有量の間には産地, 製法に関係なく p <0.01 で正の相関が認められた.このことから, 茶葉の全窒素含有量は, 茶葉, すなわち, 製品そのもの (浸出液ではない) の品質を知るよい指標となることがわかった.また, 審査総合計点と普通に飲用とする浮遊物を含む浸出液の窒素量との間には, 産地, 製法に無関係に強い相関が認められた.したがって, 浮遊物を含む浸出液の窒素含有量は, 煎茶の総合的な品質を知る最もよい指標となることがわかった. 以上の結果等をもとに総合的に判断すると, 非ブランド茶, 狭山茶, 深蒸煎茶の優位性が明らかになった.