高濃度の粉アメを添加した0.5%の粉末寒天ゲルを低温保存させた場合のゲルの物性の経日変化を検討した. 1) 粉アメ添加ゲルは, ショ糖添加ゲルと異なり, 粉アメ添加濃度50%以上になると, 低温保存 (5℃) 約25時間頃より高分子デキストリンの析出によると思われる白濁が生じた. 2) カードメーターを用い, 60%のショ糖または粉アメ添加ゲルを低温保存した場合の硬さの変化を検討した結果, いずれのゲルも保存5日目頃までは急激な硬さの上昇が認められた.また, 破断力の測定では, 粉アメ添加ゲルは, 低温保存10日目頃より破断点の消失が認められた. 3) クリープ曲線より, 粘弾性の6要素模型に対応させ, ゲルの弾性率, 粘性率の経日変化を検討した.その結果, 瞬間変形量に関与するフックの弾性率は, ショ糖添加ゲルでは, 日が経つにつれて, 値の上昇が認められ, 一定応力に対して抵抗力のあるゲルに変化していくことが示唆された.粉アメ添加ゲルは, デキストリンの析出に伴い, 一次的に弾性率の小さいゲルを形成するが, デキストリンの析出終了後, 再び弾性率の増加が認められ, ゲルの網目構造を発達させ安定したゲルになることが示唆された, 塑弾性体 (PE) の弾性率は, ショ糖添加ゲルのほうが小さく, 一定荷重に対する塑性歪みの量は, 粉アメ添加ゲルのほうが大きいことが示された.また, ショ糖添加ゲルでは, 日が経つにつれて, 塑弾性率の値の顕著な低下が認められた.粘性率においては, 粉アメ添加ゲルはデキストリンの析出に伴い, ゲル調製後, 3日目まで, とくにフォークト体部の粘性率の急激な値の上昇が認められた.定常粘性部においては, いずれのゲルも低温保存に伴い, いったん粘性の上昇を示すが, その後何らかの理由により低下が認められたが, ゲル調製時の値を下まわることはなかった.