布帛のライブリネスについて, (1) 曲げ回復角速度, (2) ハートループ法による曲げ剛性, (3) 曲げヒステリシス特性における最大応力および回復率, (4) 反発力についての官能検査の4種の実験項目から検討した結果は以下のとおりである. 1) まず薄地から厚地, あるいは柔らかい織物から硬い織物に共通なライブリネスの実験条件を見いだすために, 試料の初期条件について, 曲げ回復角速度のパラメータ (1/ω) の相関から検討した.その結果, 直径1.5cmのローラーを用いて, 半円周に巻きつける試験片の端からの長さを4.5cmにとった場合が適切であることを見いだした. 2) 曲げ回復角速度を, 水平から45, 90,135°の3ヵ所で測定した.次に測定結果をもとに, 0~45°間, 45~90°間, 90~135。間におけるそれぞれの1/ωの割合を算出した.これらの結果から, (1) 曲げ回復角速度は, 固定からの開放時, すなわち0~45。問が最も速く, 標準偏差の値も最小値を示した. (2) 素材別には, 絹の回復角速度は, 固定からの開放時から, 回復角が大きくなるに従って遅くなるが, 綿と毛の回復角速度は, 45~90°間のほうが90~135°問より遅くなる傾向を示した. (3) 素材別にみた回復角間の回復角速度のばらつきは, 絹, 毛, 綿の順に大きい傾向にあった. 3) 回復角135°における1/ωと剛軟度ならびに曲げヒステリシス特性における最大応力の相関図は, 双曲線の形を呈した.そこで剛軟度ならびに最大応力を対数に変換し, 1/ωとの相関を求めた.その結果, 毛は1/ωと剛軟度, ならびに曲げヒステリシス特性における最大応力との間に高い負の相関が, また回復率についても, 正の相関の有意性が認められた.綿, 絹については, 1/ω, と剛軟度との問に, 負の高い相関の有意性が認められた. 4) 試料の反発力についての官能検査と曲げ回復角速度ならびに剛軟度の相関は, いずれも絹の場合にのみ, 有意性が認められた.