食べ物の大きさと一口量の影響を知るために,味付け大根を試料として検討を行った。大きさは1cm角を基本に,それを切断した5種類,一口量は,1cm角1個~6個分までの6種類とした。測定は,破断試験,咀嚼筋筋電位測定および官能評価を行った。その結果,大きさの影響は,小さくなるほど,破断特性値は低下し,筋活動量平均および咬合力平均も低下して,咀嚼回数は増加したが,官能的軟らかさには有意差がなかった。また,噛みやすさ,まとまりやすさ,食べやすさの評価は小さいほうが低くなった。ただし,大きさの影響は,一概に大きさの順でないかもしれないことも示唆された。一口量の影響は,増加するほど,破断特性値は増加し,咀嚼時間および咀嚼回数が増加した。軟らかさおよびまとまりやすさは一口量の影響がなかった。噛みやすさおよび食べやすさは有意差があり,多いほうが評価が高い傾向があったが, 5または6個分で評価が下がった。なお刻みだけは,5および6個分の評価がもっとも高かった。主成分分析により大きさおよび一口量の影響を2次元に表したところ,1cm角から小さく切るほど食べ難くなり,一口量が多くなるほど咀嚼時間・回数が増加するが,食べやすさは向上する傾向があることが示唆された。