高齢社会である日本の抱える社会的問題の一つは,人間関係の脆弱化である.高齢者が人生の最終コーナーを豊かに駆け抜けるためには,幼少期から人間関係を紡ぐことが出来るような環境作りが緊要である.対人的なスキルの養成等は教育的な課題である.豊かな人間関係を阻むものの大きなものとして,従来からの性役割意識がある.この意味で,性を超えて自由にその人らしく生きる事を志向するアンドロジニーな生き方が強く求められている.本研究の目的は、提案されたアンドロジニー尺度の妥当性と信頼性を吟味・検討する事である. 当該尺度は性役割現実像10項目と性役割期待像6項目の計16項目からなっている.これら16項目の概念的妥当性が確かめられた.また内的整合性は充分に満足できる水準にある.因子分析の結果3因子を得たが、これら3因子間には高い有意な順位相関関係が認められた.以上のことから,今回提案のアンドロジニー尺度は妥当性と信頼性を兼ね備えたものであると言える.