一般的な食事をする中高年女性と菜食を実践している中高年女性を対象として, 食事パターンと血液流動性との関連を検討した. (1) 菜食の基本は, 玄米粉, 豆腐, 緑黄色野菜の絞り汁であったが, 個々に異なっていたので, 栄養素摂取量を用いてクラスタ分析を行い, 食事パターンを決定した. 4つの食事パターンが得られ, 「超菜食」「菜食」「腹八分目」「過食気味」と名付けた. (2) 身長を除く身体状況 (体重, BMI, 体脂肪重量, 除脂肪重量, 腹囲, 腰囲, 拡張期血圧) は「超菜食」「菜食」グループが「腹八分目」「過食気味」グループより有意に低値であった. (3) ビタミンE, ビタミンCには差がみられなかったが, 他の栄養素では4つの食事パターンに有意性が認められ, エネルギー, タンパク質, 脂質, 炭水化物は「超菜食」が最も少なく, 「過食気味」が最も多かった. 「菜食」のミネラル (カルシウム, マグネシウム, 鉄, 銅), ビタミン (ビタミンK, ビタミンB1, 葉酸) は他の3群より有意に多かった. (4) 砂糖類, 果実類, 調味嗜好品類を除く食品群は, グループ間に有意な差がみられ, 「超菜食」「菜食」グループは動物性食品 (魚介類, 肉類, 卵類, 乳類) の摂取量が少なく, 種実類, 緑黄色野菜, 豆類の摂取が多かった. (5) GOT, γ-GTP, 尿酸, E-ch/T-ch, 葉酸, 血中ケルセチン, ヘマトクリット値は4つのグループ間に有意性が認められ, 血中ケルセチンは菜食の2グループが有意に高く, ヘマトクリット値は低い傾向がみられた. (6) MC-FAN法で測定した血流速度はグループ間に有意性が認められ, 「超菜食」「菜食」は「腹八分目」「過食気味」より血流速度が速い傾向がみられ, 「超菜食」は「過食気味」に比べ血流速度が有意に速かった.