ヒトとβ-カロテン吸収代謝が類似しているスナネズミを用いて, リコペン蓄積能とβ-カロテンとリコペン間の相互作用について検討した. スナネズミにリコペンを28日間投与すると, 肝臓, 血漿中にリコペンが検出された. また糞便中にもリコペンが排泄されていることから, スナネズミはリコペン蓄積能があることが明らかとなった. スナネズミの体内にリコペンが蓄積された状態で, β-カロテン含有飼料に換えさらに28日間飼育したところ, β-カロテン投与により, わずかながらリコペンが排泄され, 体内由来のリコペンが糞便中に排泄された. また, リコペン投与を停止し28日間経過しているにもかかわらず肝臓中リコペンの残存量が多かったことから, スナネズミにおける生体内利用性は低いものと考えられた. さらにβ-カロテンとリコペンを同時摂取させた群において, それぞれの吸収に負の相互作用があることが明らかとなった.