以上の結果から高温液化法における最適条件およびその時に考えられることを要約すると次のようである。 (1)高温液化の条件としては5.3~5.5が最適で5.0~6.0であれば調整の要はない。 (2) ミセルの再配列をともなわせずに液化を完全に行うための液化温度は甘藷澱粉の場合85℃ とするのが大規模の場合安全である。 (3)細菌アミラーゼによる分解を最高度に利用する場合は,低澱粉濃度における最適温度が65℃ 位であることがわかっているので,澱粉乳液注入後の作用温度は68~75℃ の範囲が適当である。 (4) また,比較的低分解物を得る目的には,作用温度を90℃ 以上で行うのが,分解度のコントロールには都合がよい。 (5)細菌アミラーゼによる分解物を任意の点で反応を停止させるには,活性曲線からpHを4.5位に下げて加熱するのが適当である。 (6)約40%澱粉濃度,pH5.3~5.5での高温液化に必要な酵素量は,澱粉19当り12D.U.N以上で,結晶アミラーゼの場合は約30%増加しなければならない。 (7) 澱粉液化後に残存する白濁物質はそのヨウ素呈色度より考えて澱粉に近い性質の高分子物質である。