本論文では,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)を使用した製品の印象を調査するための手法を提案する.著者らは,製品の総合的な印象と部分的な印象との関係を分析する感性情報分析手法を提案する.著者らの研究では,この関係を明らかにするアンケートの結果に基づいてファジィルールが生成される.それらのルールは製品の総合的な印象を決定づける要素の説明を行う一般的なルールである.そして,生成されたルールから製品設計に有用となる知識を発見することを本研究の目的としている.著者らの先行研究では,アンケート結果から構築されたファジィC4.5決定木を用いることで製品の欲しさを決定づける要素を調べ,いくつかの信頼できるルールを生成することができる.しかし,従来手法ではルール生成に制約がある.決定木の構造上,抽出されるすべてのルールは木構造の最上位ノードに割り当てられる部分評価属性を含むことになる.このことにより,ルールの性能には限界がある.そこで本研究では,木構造によらない柔軟なルール生成手法として並列にGAを用いてルールを獲得する.本論文では,提案手法である並列GAを用いた感性情報分析手法の有効性を検討した.さらに,先行研究であるファジィC4.5決定木と,クロスバリデーション評価による未知の事例に対する生成ルールの推定性能の比較を行った.実験結果より,提案手法においてルールの性能が向上したことが確認された.