本論文は,顔表情画像から感情・表情のファジィメンバシップ関数を推定する方法を提案する.このメンバシップ関数は感情の次元説における感情空間の上で定義され,学習用の顔表情画像に対する主観評価の実験結果などを利用して,次の2つのモデルで表現される.a)各顔画像におけるメンバシップ関数の平均と広がりのパラメータを,それぞれ主観評価の平均値と標準偏差とするもの.b)主観評価に加えて画像空間内の分布の情報を導入したもの.推定されたメンバシップ関数は,もとの関数からの形状近似における誤差などを用いて評価される.統計解析の手法としてカーネル化を含む正準相関分析を利用し,これを濃淡画像データに適用した.男女2種類の顔表情画像のデータベースを用いた実験の結果,人の主観評価と比べ最大で約2倍以下のばらつきを持つ推定結果が得られ,提案方法はこの意味で有効であることが示された.