本研究では,創発現象を利用した自己位置推定手法を提案している.複数のものが運動すると渋滞や同期現象が発生することがある.これらの現象の中には固有の幾何的な特徴が発生するものがある.本論はこの特性を利用して自己位置の推定精度が高められることを計算機実験で明らかにしている.ここでは問題としてロボカップ等で必要となるターゲット包囲行動を扱っている.ロボット群は予めとりきめた行動(ここではターゲット包囲行動)を実行する.まずこの時に発生する創発特性について計算機実験を用いて調査している.次に,明らかになった幾何的特性を利用した協調的モンテカルロローカライゼーション手法を提案している.提案手法の有効性を検証するために,ロボットの台数や通信遅延,センサに混入するノイズ量などを変更して実験をおこなっている.その結果,多くのケースで位置推定精度を改善できることがわかった.