対話型進化計算(IEC)は,評価関数の定式化が困難な最適化問題に対して有効な手法の1つである.しかし対話型進化計算では,多数回の評価がユーザの負担になるという問題がある.本論文では,ユーザの負担を軽減するため,対話型進化計算に評価値推論法を適用する.評価値推論法では,過去に実際に評価された解候補とその評価値の情報を用いて評価値の推論を行う.しかし対話型進化計算では,人が解候補の評価を行うため,時間の経過や事前に評価した解候補の印象によって評価基準に変化が生じ,その結果評価値推論が適切に行えない可能性がある.そこで本論文では,推論精度に基づき実評価する解候補数を変化させることで,IECに評価値推論法を適用する際のデータベースの適切な更新手法を提案する.これにより,ユーザの評価基準の変化にも対応可能となる.IECを用いた補聴器フィッティングシステムに提案手法を適用し,従来法との比較を通じて,提案手法の有効性を検討する.