大量化するマルチメディアコンテンツを整理し,利用するため,コンテンツの管理を可能とする様々なアプリケーションソフトウェアが提供されてきた.しかし,これらはコンテンツをファイル作成の日時や種類等の基本情報のみによって管理するため,必要とするコンテンツにアクセスし易いとは言い難い. 本論文では,日常生活において自然に記憶にとどめているイベントが発生した時間と場所の情報(本研究では,「日常生活オントロジー」と呼ぶ)を使ってコンテンツを構造化し,自然言語で操作可能とする手法を提案する.これにより,ファイルの基本情報に加えて,場所と時間という制約をコンテンツ管理に用いることにより,コンテンツを取得した状況に合わせてコンテンツを管理することができる. また,自然言語によるアプリケーションソフトウェア操作を可能にするため,アプリケーションソフトウェアにおける操作機能のオントロジーを構築し,ユーザからの入力となる自然言語文を柔軟にアプリケーションソフトウェアのコマンドに結びつけることを可能とした.さらに,構造化されたコンテンツに対しては,構造化に用いられた時間と場所の情報に基づきアクセスすることができるため,現在,閲覧しているコンテンツから時間と場所の階層関係や順序関係に自然言語でアクセスすることを可能としている.本論文で提案する管理法によって管理されたコンテンツに対して,開発した自然言語インタフェースを用いた操作実験を行い,手動でコンテンツを操作した場合との比較を行った.タスク達成に必要となった所要時間とタスク結果の正確性の観点から評価を行い,優位性が認められた.このことから提案する手法の有用性が示された.