本論文では, 新聞記事における相対表現の調査および動向情報抽出のための相対表現の利用効果について議論する. 相対表現とは, 『12%増』『昨年』『第一位』のように, 動向に関連した数量表現や時間表現において数値の相対的差異や数値変動を示す表現である. 相対表現の処理が可能となれば, テキストからの動向情報抽出はより効率的に行える. 我々は, 新聞記事中に出現する相対表現を調査し, 相対表現の役割と出現傾向について分析した. そして, 動向情報把握のために必要な基本情報の抽出規則を構築した. 抽出規則がどの程度動向情報抽出に有効であるかを検証するために実験を行った. その結果, F値で0.8以上の性能が得られ, 相対表現を利用した動向情報抽出の可能性を確認することができた.