磁気記録材料としてコバルトをふくむγ-Fe2O3やFe3O4はテープ・ヘッド間の摩擦により録音された信号の高域周波数の減衰がみられる.この要因を調べる意味で, 磁気記録に用いる磁性粉末を用いてバルク試料および録音テープを作り, バルク試料は直流磁化後加圧したときの残留磁気の変化を, テープは録音後加圧したときの再生出力の変化を測定した.これらの結果から, 録音テープの摩擦減磁は単なる温度上昇によるのでなく, 磁気ひずみ的効果をふくめたかなり複雑な現象の重畳によって起こることが判明した.