健康食品による健康被害の因果関係評価を視点に,3つの情報源(保健所情報,PIO-NET情報,企業情報)で収集された事例の実態を調べた.保健所情報は約20件/年が収集されており,約40%が医療関係者からの通報で医学的データが含まれていた.PIO-NET情報は約370件/年が収集されており,8割程度が利用者からの通報で,製品名や利用状況などの具体的内容が少なかった.企業情報は利用者からの通報が9割以上で,大部分が苦情に相当する内容であった.保健所情報とPIO-NET情報を,2つの因果関係評価法に試行的に適用したところ,因果関係が確からしいと判断できた事例は少なかった.収集されている被害事例を安全性確保に効果的に活用するためには,健康被害の症状に関して共通の考え方を持ち,収集事例の質と件数を高める取り組みが必要である.