兵庫県の3スーパーマーケットで市販されていた牛ミンチ肉,豚ミンチ肉および鶏ミンチ肉の黄色ブドウ球菌汚染状況を半年間にわたって追跡調査し,また分離株の性状を調べた.調査した3店舗の黄色ブドウ球菌の平均検出率は牛ミンチ肉77.8%, 豚ミンチ肉91.7%, 鶏ミンチ肉91.7%であった.汚染菌数(MPN法)は,2店舗ではいずれのミンチ肉も,多くの検体が46/g以下,1店舗は半数以上の検体が≥110/gを示した.分離した94株の生物型では53.2%がヒトに分布するHuman型で,コアグラーゼ型ではV型とVII型が全体の77.1%を占め,エンテロトキシン産生率は18.1%で,大多数がC型であった.PFGE法を用いた疫学解析では,(1)ミンチ肉の種類に関係なく,優勢に検出されていた菌型が,ある時期から他の優勢菌型に変換した店舗,(2)ミンチ肉の種類に関係なく,特定の菌型が調査期間中に繰り返し検出された店舗,(3)多彩な菌型が調査期間中に検出された店舗が見られた.