野菜のチンゲンサイ試験溶液をGC-FPDで分析した結果,ジスルホトン(P=S・S)の代謝物ジスルホトンスルホキシド(P=S・SO)と考えられるピークを検出した.GC/MSで同定を試みたが,P=S・SO標準品と保持時間およびマススペクトルが一致したもののマススペクトルはライブラリーと一致せず,P=S・SOが注入口で熱分解したものを分析したと考えられた.そこでPTV注入口を用いたパルスドスプリットレス注入法により,注入口の温度を低くし,注入時に高圧をかけてP=S・SOの熱分解をできるだけ抑えるように検討した.その結果,P=S・SO本来のマススペクトルを得ることができた.この条件でチンゲンサイ中のピークを同定した結果,P=S・SOであると確認された.P=S・SOはチンゲンサイ25検体中2検体から検出され,その残留濃度は0.66 μg/gおよび0.14 μg/gであった.