2つの注入口に同種カラムを装着し,それぞれをECD及び質量分析計につなげた,ECD付きGC/MSシステムを確立した.各カラムの保持時間が同一になるようにカラム流量の調整を行い,相互データの関連性を持たせた.このシステムを用いて,有機塩素系及びピレスロイド系農薬分析において,野菜7検体中の未知ピーク物質の同定を行った.その結果,ブロモプロピレートなどの5種の農薬が同定された.ブロモプロピレートについて添加回収試験を行ったところ,回収率,CVともに良好な結果が得られた.更に,両検出器でブロモプロピレートの定量を行った結果,MSとECDでほぼ同様の数値が得られた.本システムでは,従来困難であった未知ピーク物質の同定が容易になり,食品衛生上有用なデータを取ることができると考えられた.