職場のストレス軽減のための取り組み―職業性ストレス簡易調査票を活用した支援について―:長谷陽子ほか.東海旅客鉄道株式会社静岡健康管理センター― 休業に至るうつ病社員の発生が複数みられた某事業所において,所属している全社員442名(計19グループ)に対し職業性ストレス簡易調査票を実施した.そのうち総合健康リスクが120を超えた2グループに対し,職場のストレスを改善することを目標に産業保健スタッフ(産業医・保健師)が1年間職場を支援した.産業保健スタッフ(産業医・保健師)が2グループの社員の全員に対し,実際の職場の状態を把握するために聞き取り調査を行い,管理者と意見交換会を設け,職業性ストレス簡易調査票の結果と聞き取り調査結果を提示し改善策を検討・実行した.また2グループに対し健康教育を行い,希望者へ個別面談を実施した.1年後の再評価では,2グループともに総合健康リスクの低下を示し120未満となった.実際に,支援した1年間ではうつ病による休業社員の発生は認められなかった.職場のストレスが改善した要因としては,改善策の実行による効果以外にも,今回の取り組みを通して管理者のメンタルヘルスに対する意識付けや産業保健スタッフ(産業医・保健師)との連携が強化されたことが考えられた. (産衛誌2008; 50: 111-119)